インドのヘナ産地で知った偽造ヘナの作り方と事情

インド旅行に行ってヘナのお土産を買う

インドで販売されているヘナ製品

これは非常にリスキーなことだと知っていましたか?

インド国内で販売されているヘナの多くは、化学薬品が添加されたものが多く、以前には日本でも多く流通していました。

日本国内では、天然ヘナとケミカルヘナという2種類のヘナとして、十分に知識のある人は見分けることが出来るようになりました。

しかし、インドでは簡単にはいきません。

実際に化学薬品が添加されたヘナの製造現場に潜入しました。

日本のケミカルヘナと天然ヘナ

偽装ヘナの作り方を実演

まず整理しておきたいのが日本でのヘナの分類です。

①100%天然ヘナ

②ケミカルヘナ

③偽物の天然ヘナ

と3つに分類されます。

”①100%天然ヘナ”は言うまでもありません

”②ケミカルヘナ”というものも、ユーザーの方が認識して利用していれば問題はありません

一番の問題は”③偽物の天然ヘナ”なのです。

③偽物の天然ヘナは二つに分類されます

”③-1 知りながら販売している偽物の天然ヘナ”

”③-2 知らずに販売している偽物の天然ヘナ”

この偽物の天然ヘナは、ネットワークビジネスを通じて販売されています。無知に付け込んだ商売なので非常に悪質ですね。

ネットワークビジネスの販売員は素人の方が多いのです。勿論ネットワークビジネスに加担している美容師さんもいますが、彼らも同じく無知なのだと思います。

素人のヘナ販売員→美容師に売ると沢山売れる→責任はサロン現場にある

こういった図式にはまる美容師さんは、薬事に違反した製品を使い続け、事故が起こった場合には自分自身で責任を取らなければいけません。

私達の製品にはPL保険が適用されていますので、様々なリスクに対処できます。

それはサロン現場のリスクを最小限にするメーカーとしての務めだからです。

そして逆のスタンスのメーカーも存在します。

②ケミカルヘナの存在について解説します

②-1薬事申請出来るケミカルヘナ(合法、安全性は?)化粧品登録できる成分を使用

②-2薬事申請出来ないケミカルヘナ(違法、危険)化粧品登録できない成分を使用

②-1は法律的には合法で販売が可能です。ユーザーの方が時間短縮やより濃く染める目的で使用することがあります。ただし安全性が担保されているとは限りません。

またネットワークビジネスにおいて、曖昧な宣伝販売をすることで①100%天然ヘナと誤認させて販売されることもありますが、こちらは確認を怠ったユーザーの自己責任となります。

②-2は言うまでもなく違法です。絶対に使用してはいけません。しかし、違法とは知らずに使い続ける美容師さんも後をたちません。

主にジアミン色素が使用されています。ヘナユーザーの中には、ジアミンでアレルギーを起こす可能性のある人が含まれています。

誤使用による被害は後を絶たず、何度もこの製品による被害を聞いています。

この製品が美容室で利用されている率は非常に高いのが現実です。

偽造ヘナの作り方(基本編)

偽装ヘナの素材ケズリ

ケミカルヘナの作り方は非常に巧妙です。

材料は以下のようになります

・ケズリ(雑草ヘナの代用植物で安い)

・ピクラミン酸(微量で高発色の化学染料)

これらは主にインド国内で流通するヘナ製品で、1パック50円程度で販売されています。

こういった低価格の製品をインドのヘナ工場から出荷されています。

これらを日本人のバイヤーに購入させれば大きな収入が得られます。

しかし、最近ではこういった方法では欺くことが難しくなってきました。

そこで登場したのが新たな手法です

偽造ヘナの作り方(日本向け)

グリーンの人口染料を添加した偽装ヘナ

材料は以下のようになります

・古くなったヘナ(仕入れ価格は10分の1)

・ピクラミン酸(検出不可能な濃度で混入)

・ダイヤモンドグリーン(緑色の人口着色料)

基本的な偽装ヘナの弱点は、パウダーの色です。

ヘナのパウダーは通常緑色や鶯色です。

しかし古いヘナは茶色く見た目が良くないので、緑色の人口着色料を加えます。そうすると一見新鮮そうなヘナパウダーとなります。

古くなったヘナにも一応色素は含まれていますが、その発色は劣りますので、検出出来ないレベルでピクラミン酸を添加します。

こうして完璧に偽装されたヘナが完成し日本へと出荷されていきます。

なぜ日本国内で偽装ヘナがバレないのか?

なぜ偽装されたヘナが日本国内で流通してもバレないのか?

まず、日本のヘナメーカーさん自体がインドの製造現場知らないからです。

そして、インド側でも巧妙なトリックをしていることも大きな要因です。

ヘナの産地ソジャットは非常に小さな町なので、少し歩くと他メーカーさんの製造現場に突き当たります。

化学薬品不使用を宣言している工場の前に積まれたケズリやダイヤモンドグリーンを混入する際に使用する材料。

現場に行けば、その異常に気付くことが出来ます。

また、偽装ヘナの製造現場を現場に来ないメーカーに見せる必要はありませんので、彼らは隠蔽してしまいます。

そして最大の問題は日本の薬事法です。

化粧品製造許可書

日本で化粧品を販売する際には、化粧品製造販売許可が必要なのですが、このライセンスを持つメーカーが非常に少ないのも問題です。

どこかの製造販売許可を持つ会社に責任を代行してもらうのです。

Indeyherbsも以前は代行をお願いしていましたが、やはり製品に対する保証や責任はメーカー自体が担保することが当然だからです。

要するに、一般的な製造販売許可を持たないメーカーは、製品に問題が起こったとしても逃得となるのです。

こういった無責任な販売形態が偽物ヘナの蔓延を助長しています。

これはヘナに限った話ではありません。

化粧品やオーガニックコスメなど全般に言えることなのです。

どうしてインドの人々は偽装に手を染めるのか?

まずインド人の性質自体がテキトーというのもありますがw

やはり彼らは生きることにストイックなのだと感じています。

彼らは日本人と取引することを望んでいます。

日本からは

・ヘナは染まりが弱い(染料添加)

・ヘナのパウダーの色がグリーンでないと買わない(着色料添加)

・出来るだけヘナを安く買いたい(古いヘナを使用)

彼らは要望に対して、彼らなりの価値観で応えてくれます。

ここを彼らなりに任せてしまうことはリスキーなのです。

そもそも感覚の違う人々なので、ここは丁寧に行かなければなりません。

日本も20年前には真っ赤なウインナーやタラコを食べていました。

マクドナルドで誕生日会をしていました。

今や真っ赤なウインナーを見る機会も減りました。

子供には出来るだけジャンクフードは食べさせない食育があります。

このように一昔前の日本人を思い返せば、彼らの行動もうなずけます。

このギャップを埋めることは非常に難しく、一度理解してもすぐに元に戻ってしまうのが現実です。

私達のヘナ生産環境

私達はローカルでの生産は断念し、別途管理の利く工場を採用しました。

日本でもローカルに行くと、都会とはギャップがあるようにモラルにもギャップが生まれます。

インドで言えば、ムンバイやニューデリーの近代的な考えを持つ人達と生産することを選びました。

しかし、ローカルを見捨てることは出来ませんので、以下のような対策を行います。

・ローカルでは品質に関わらない部分の作業を行う

・ローカルの人材を雇用する

・ローカルの人達から買い叩きを行わない

このようにローカルの人達との関係性を失わないように工夫しています。

そして本体の製造環境はISO基準を満たし認証を受けた設備での生産を行っています。

オーガニック認証を受けることにより、働く人々の意識向上などを図っています。

また、従業員の生活向上の為にも、寮を完備することで生活の安定を図っています。

まとめ

私達が毎年ヘナの生産現場へ美容師さんを案内します。それは現場で働く人々にとって大きなモチベーションとなります。

現在流通する偽物のヘナは、無知からくる現象です。そこに付け込む悪意のあるメーカーも存在しています。

美容師さんをはじめ、一般の方々にも実態を知って頂くことで、正しい天然ヘナの流通が行われるようになります。

また、インドの生産現場の人々は、生きることや生活することが最優先になります。その根本原因である、搾取や相互理解不足という問題を解決する必要があります。

ヘナ製品といっても、多種多様な生産環境や製造方法があること知って頂き、ヘナを購入する際には十分に注意をしながら選択して頂きたいと思います。

世界中でヘナの良さ、魅力が広がる一方でネガティブな話題も後を絶ちません。

こういった問題をクリアすることにより、天然ヘナの魅力が多くの方に伝わることを願っています。

環境や人体に優しいはずのヘナ製品が、環境や人を傷つけるものになってはいけません。

こういった視点で、これからもヘナの情報開示を出来る限り続けていきたいと考えています。

 

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