約2年半ぶりのモロッコ滞在 ①モロカンヘナ

2017年に発売したサハラシリーズ

モロッコのナチュラル美容素材を日本の美容室に届けようと旅立ちました。

自然豊かなモロッコには伝統的な美容素材が沢山あります。

しかし、その中には粗悪品なども多く、やはり自分の足を使い確かな製品を探すという選択をしました。

現地に入ってみると、そこには伝統的に行われている生産方法があり、彼ら独自の自然への向き合い方がありました。

彼らが何代にも渡って受け継いできたものをどのように活かしていくかというテーマがあり

日本とモロッコには様々な認識の差があります。

例えば私達はヘナパウダーの粒子を出来るだけ細かくしようと考えていました。

しかし、実際には細かすぎるパウダーは粘性成分の劣化が大きく、トリートメント成分を失ってしまうという問題につき当たります。

日本では結果よりも、細かい粉が好まれるという実態もありますので、目の荒い部分は除去することを選択していました。

しかし、モロッコの人々はその目が荒い部分にこそ粘性成分が含まれているということを伝えてくれました。

私達は、売りたいという理由のみで、一番大切な部分を捨ててしまっていたのです。

それから様々な試行錯誤を繰り返し、今回現地において新しい技術を開発するに至りました。

ようやく世界のパンデミックは収束し、現地に入っての製造を再開を果たしました。

約2年半ぶりのモロッコへの旅

サハラシリーズを立ち上げる為にモロッコへ向かった2017年

その後パンデミックの影響を受け、2年半ぶりのモロッコへの旅

普段はミュンヘンやパリを経由して渡航していましたが、現在ウクライナ情勢を受け、ドバイ経由の渡航となりました。

航空券の価格は以前の2.5倍以上という状況や、帰国時の煩雑な手続きなど、普段は心躍る旅人心もやや消沈気味です。

しかしこういったレアな状況も、ヘナやアルガンオイルの買付勿論、世界の今をリアルに体験する絶好の機会でもあります。

既に、世界のビジネスマンは海外を飛び回っています。

今海外で出会う人々は個性的な人が多く、そういった人達と交流する機会にも恵まれ、有意義な旅となりました。

日本からサハラ砂漠への大移動

関西空港から10時間フライト

→ドバイから8時間フライト

→カサブランカで12時間待機

→エラシディアまで1時間フライト

→空港近くで宿泊し翌朝サハラ砂漠まで3時間のドライブ

→ヘナ産地まで3時間のドライブ

日本から3日間要してヘナ産地に辿り着きます。

この場所を開拓したのが3年前でしたが、パンデミックを経ても何も変わらない場所。

気温は摂氏45度で砂漠の強い風が吹いています。

この環境で約1週間をかけて収穫から製造まで立ち会うことに。

サハラ砂漠での長期滞在は精神的にも肉体的に過酷なものとなりました。

砂漠の気候や地質が素晴らしいヘナを育てている

ヘナの生育には高温で低湿度が最適で、尚且つヘナ葉の乾燥にも適した地域。

一つ大きな問題は、もう2年以上雨が降っていないこと。

現在は点滴灌漑を行い、砂漠化した土地を緑化しながらヘナ栽培をしています。

そして、モロッコの地質はリン成分が多く、点滴灌漑と組み合わせことで、緑化に大きな成果を果たしています。

砂漠の民は自然エネルギーを使い分けている

サハラ砂漠に住むアマジーグ(先住民族)の人々は、太陽の特性をよく理解していました。

午前の太陽、午後の太陽、夕方の太陽

ヘナ葉の乾燥の際には、それぞれの時間帯を使い分けています。

そして、午後に吹く強い風は、ヘナ葉の乾燥や選別には欠かせない自然エネルギーです。

その風は、私達人間にとってはドライヤーに当たり続けるような、一気に体の水分が蒸発していくような体感です。

現地の人々が40度以上の気温でも、長袖を着ている理由がよくわかります。

この人間にとって過酷な自然によってモロカンヘナの鮮やかな緑色のパウダーがえられます。

様々なヘナ産地を訪れてきましたが、最もエネルギー効率も良く理に適ったヘナ生産と言えます。

サハラ砂漠地域での大きな問題

現在アフリカは記録的な干ばつが続いています。

それによって、人が住めない場所も増えてきました。

農耕を主としていた地域では、井戸が枯れてしまい水源確保が大きな課題となっています。

砂漠地域は地下を掘れば水源はあるものの、塩分が多く農業には使えない水源が多く、真水が出る場所からの水資源の確保が必要です。

こういった状況において、砂漠地域では点滴灌漑を行います。

点滴のように水を垂らしながら、農地を維持する方法です。

この技術によって、最小限の水資源で農地を維持しながら緑化を行なっているのです。

これからの目標

サハラ砂漠一帯は、観光業などによる収入が大半を占めていました。

しかし、パンデミックの影響により多くの人が仕事を失いました。

更に干ばつの影響により食品の価格も高騰しています。

都市部の繁栄ぶりとは程遠い状況が続いています。

この地域に必要なものは、水源と雇用です。

ヘナの栽培によって雇用を創出し、砂漠の緑化を行うことで多くの問題が解決されていきます。

同時に、ヘナの活用を通じた環境意識への問いかけも重要な役目と考えています。

モロカンヘナの特徴とは?

モロッコ産ヘナの最大の特徴はトリートメント効果です。

ヘナペーストの粘性は非常に高く、一般的なヘナ製品よりも粘り気が高くなっています。

その粘性成分が髪に潤いと艶を与えてくれますので、特に髪のボリュームが気になる方や、スリークなヘアスタイル求めておられる方に最適です。

更にモロッコでのヘナ生産が拡大するごとに緑化が進み、自然エネルギーである太陽光や風力は、ヘナ生産に恩恵を与えてくれています。

手作業が多く生産量に限りがあるという問題点はあるものの、これらは普及率と共に改善されていくと考えています。

こんなサロンの方に使って頂きたい

昨今ヘナを取り扱うサロン様も増えてきました。

そんな中でも、インド産や日本産など上手に使い分けているサロンがあります。

それぞれのヘナの特徴を理解し、お客様に提案できるようなこだわりヘナサロンの方々に選択肢の一つとして採用して頂きたいと願っています。

また、環境問題や世界の格差問題などに取り組みたいと考えている事業体の方々にも興味を持って頂ければ幸いです。

次のブログでは、アルガンオイルを取り巻く世界事情や、現在の産地の様子を記事にしていきたいと思います。

アルガンオイルの世界事情は、現代の縮図を知ることが出来ます。

ぜひご覧いただけましたら幸いです。