
2021年12月現在、世界は未だパンデミックの影響下にあります。
人々の意識は大きく変化し、生活様式にも大きな変化が見られます。
その中でも、環境問題に向けての動きは一層加速し、人類始まって以来の転換期に差し掛かっています。
環境問題に関しては、多くの企業や民間が取り組みを始めています。
一方で、美容という産業の中では、一歩踏み出すタイミングを見誤ってしまった感があります。
日本における消費者の美容関連の購買動向は、内容よりもイメージが優先される傾向にあり、
特に、化粧品分野では外装パッケージやイメージを売るビジネスが主軸となる為に、多くの資源を費やしています。
こういった課題を美容室やサロンという接客を伴う事業が、解決の一手となり得ると感じています。
また、このタイミングを切っ掛けに商習慣を転換することで、事業の存続や優位性を高めるチャンスでもあります。
グリーンウォッシュが当たり前の美容室産業
グリーンウォッシュとは、実態に見合っていないにも関わらず、環境問題に取り組むように見せる消費者への背信的な行動を指します。
例えば、オーガニックカラーという触れ込みで、実際に使用している薬剤には、一般的なカラー剤同様のアレルギー・刺激成分が使用されているというような事実。
消費者が環境や自分の体に良いと錯覚させる商法です。
これらは美容師自身のリテラシーが低い場合にも起こり得ることで、その原因は製造メーカーによる嘘とも本当とも言えない曖昧な「環境への取組」という表現に起因することが多いのも実態です。
こういった現実を、現代では「SDGsウォッシュ」と表現されます。
何故パッケージを売るのか?
昨今の消費行動の舞台は、SNSなどビジュアルを中心とした媒体が中心になります。
テキストでの訴求には限界があり、パッケージで見せることで訴求効果を狙う為です。
SNSは有害なコンテンツも多く、人間の精神に大きな負荷があることも論じられています。
こういった媒体での訴求は間も無く時代を終えていくことと思いますがその影響力は今現在、多大なものがあります。
しかし売る為に、稼ぐ為には、必要な手段と言えます。
消費動向に合わせる為にも、過剰包装などを無くすことが出来ないのが実情です。
美容室・サロンという現場にチャンスがある理由
一方で、美容室・サロンの現場は接客時間も長く、製品の魅力を過剰包装やパッケージによって訴求する必要が無いからです。
美容師の経験や感覚を活用し、お客様に言葉というツールを使って訴求できるからです。
また、多くの消費者は美容室を固定化していることで、その信頼関係も強いことが特徴的です。
美容師は言葉と信頼というツールを活用することで、環境問題に大きく貢献出来る立場なのです。
積極的にその立場を活用することが、私達美容師の役目でもあります。
量り売りが美容室の物販に革命をもたらす
私達が提案する量り売りの仕組みは、化粧品の流通における環境問題に大きな革命をもたらします。
それと同時に、美容室やサロンという事業体に新たなビジネスチャンスをもたらします。
しかし、これらは消費者と生産者の意思が無ければ成立しません。
美容室やサロンの今までの取り組みや訴求内容によって、結果が出る事業、結果が出ない事業に分かれていくことと思います。
今日から急に「環境問題」と叫んだところで、それまでの顧客との関係性によっては、声が届かないということになります。
日々現場での接客や仕組みに、環境問題を解決する手段を組み込んでこなかったことは、先行投資を怠ったとも言えます。
しかし、そういった取り組みを行なっていない事業体もまだまだ多く、始めるのであれば早いほど良いというのが実態でしょうか。
私達が目指すゴール
少しずつ量り売りや環境対応した事業体が増えつつある昨今ですが、このスピードでは遅すぎると感じています。
世界では2030年を目処としたSDGs主体の様々な業態が展開されています。
あと十年も無い期間に、大きな変革が必要です。
私達が目指すゴールは、美容室を量り売りの場所として認識されることです。
日本全国には20万件以上の美容室が存在します。
シャンプーの空容器を持って数分歩けば、多くの人が量り売りの場にアクセスできる社会環境。
流通上のエネルギー・容器など、多くの環境コストを削減できます。
こういった状態を構築していきたいと考えています。
資本に頼らないゴール達成へ向けて
しかし私達には、資本が無く地道な活動しか出来ません。
アクセスの少ない誰も見ないブログで呟こうと、実現には至らないでしょう。
また、SNSなどを通じた発信も、一定の効果はあるものの、見る側の心的ストレスや害悪性を考慮し利用を最小限に留めたいと考えています。
更に使用者利益や利便性の低い取り組みは、提供側が頑なであるほど社会に馴染まないという現実もあります。
新たに始まる美容室やサロンの環境への取り組みは、現場による地道な積み重ねしかありません。
消費者の声を聞き、社会の風を読み、自己の意思やポリシーを明確にする。
それを実際の運用・行動に実装していくことしかありません。
その中からレバレッジ(テコの原理)の利く方法論を模索していくことになります。
それらを相互にシェアすることで醸成しながらゴールを目指していくことになります。
日本社会では未だに如何に電力エネルギーを工面するかという課題すら、明確な道は見えていません。
私達が取り組む活動も同じく、試行錯誤を繰り返していくしかありません。
手を取り合う仲間が多いほど衆知が集まり、ゴールの達成へと着実に進んで行きます。
美容室Overallとの取り組み
そこで、この度私達は岐阜県のパートナーサロンであるOveallのプロジェクトをサポートすることになりました。
シャンプー・基礎化粧品などを量り売りとして展開するための提携です。
その第一歩として、ELEMバランシングシャンプーを展開します。
このプロジェクトには勿論、前記したようなポリシーが含まれています。
量り売りに最適化された製品のプログラムは、今後さらにブラッシュアップされていくことでしょう。
2030年という全世界をあげたデッドラインに向けて、量り売りのプロジェクトとしての第一歩となります。
是非多くの美容室やサロンがこのプログラムに賛同頂けることを願っています。
最後に
今回の記事は非常に長く難しい部分もあるかと思います。
一方で、如何に分かりやすく伝え賛同頂けるかというミッションがあります。
是非、こういった課題を元に多くの方々と意見交換を行いと考えています。
また、理解頂くためにも質問や不明点などを是非お寄せいただきたいと思います。
小さなコミュニケーションから、気付きが生まれ、行動変化が現れ社会は変化していきます。
どうぞ宜しくお願い致します。