先日関東からお友達がやってきたので、ちょっと京都をご案内。
京都には古くから残っている老舗料理店が沢山あります。
桜や紅葉のシーズンには予約なしでは入れません。
その一つに湯豆腐のお店”奥丹”があります。
そのメニューは、たった4つのコースメニュー
・昔どうふ一通り
・おきまり一通り
・島どうふ一通り
・冷奴一通り
コースの内容は
木の芽田楽 とろろ汁 胡麻どうふ 精進天ぷら ごはん 香の物
それと各湯豆腐が付いてきます。
このメニューだけで370年やったはります!
京都は湯豆腐の激戦区でもありますが、370年もこのメニューで生き残っています。
コースメニューなので単価は一定を維持出来ます。
コースの内容もメインの湯豆腐が4種類選べる他は、全て共通のメニューで効率的です。
ただひたすらに、同じメニューを作り続け、磨き続けてきたのでしょう。
ファミレスはひたすら競争してはる
一方で、安さと手軽さを売りにしたファミレスはどうか?
ポップなメニューを次から次に開発し、そしてまた新しいメニューの開発をし、他社競合と競り合う毎日です。
夜遅くにはワンオペのような厳しい労働環境で、しかも時給は最低賃金すれすれだったりしますね。
確かに若い人や、夜遅くにミーティングしたい時などには有難い存在ではあります。
しかし、今の時代にそぐわないという労働問題なども発生しているのも事実ですね。
美容業界に置き換えてみておくれやす
多くの美容室は他メニュー展開を行っていますが、専門店と言われる美容室は数少ないようです。
カット専門の1000円カット、バカに出来ない売上を作っています。あれだけの多店舗展開には多くの出資が集まった証拠ですね。
Graciasヘナ専門店は小さいながら安定した売上と、労働環境を維持しています。
湯豆腐の奥丹の閉店時間は18時ですが、私達もだいたい18時に仕事を終えています。
共通することは専門性どす
奥丹とGraciasの共通点は専門性です。
数少ないメニューを磨き上げ、他店の追随を許しません。
練習時間が効率的どす
一般的な美容室では、パーマ・カラー(アルカリ・マニキュア・ダブルカラー・・・)・縮毛矯正・トリートメント・カットなどと練習する内容も多く、そこに費やす時間は半端ではありません。
Graciasでは、カット・ヘナ・スパのみしかスキルは必要ありませんので、同じ練習時間でも各分野に集中し効率が良いのです。
在庫原価コストもスリムどす
原価コストも在庫するラインナップが少ない分、利幅が大きくなります。
奥丹であれば、お豆腐とてんぷらなどの限られた在庫に対して
ファミレスはハンバーグ・エビフライ・パン・ご飯・サラダ・パスタ・ピザ・・・・・と在庫量も多くなり、同時にロスも大きくなることでしょう。
一般的な美容室だとカラー剤の在庫だけで数十種類が必要で、パーマ液も最低3〜5ラインナップ、トリートメントも2〜5ラインナップ・・・・という具合です。
Graciasの在庫は、ヘナ製品6種類とマッサージオイルのみ。
なのに何故多数ラインナップにならはるん?
パンケーキが流行ると、どこのファミレスでもパンケーキを追う。ローストビーフが流行ると、みんなローストビーフを追う。
そうすると競争原理で値段は下がっていきます。
誰が喜ぶのかというと
供給するメーカーですね。。。
美容業界はまさに、ここを数十年繰り返しています。
実際にカットのみで大きく業績をあげた1000円カットは、美容メーカーを一切無視しています。だから一番になったのでしょう。
毎月100時間レッスンしないと、今の時代に付いていけないというコンサルタントもいますが、全く嘘です。
そんなことしなくても、十分に美容師として食っていけます。
ただし、何も考えず美容メーカーが垂れ流す情報を鵜呑みにして従ってしまっていたとしたら・・・
結局競合する世界に足を突っ込む羽目になります。
美容メーカーの情報は日本全国の美容室に伝わっているから、自ずと全員が競合になります。
美容メーカーは独自化・オンリーワンなどと平気で訴えかけてきます。
ほんとの独自化は遊心におわす
毎日 あれも これも レッスン レッスン
私のような凡人には、そんなことで一つのことが極められるわけがありません。
専門性を持つのに大切なことは、いっぱいメニューがあったり、いっぱい商材があることでは無いと考えています。
私の場合は、常にハーブを使ってどんなデザインを作ろうか、どんな発色を得ようかと考え、時には毛束を引っ張り出しては遊びにふけります。
毎日のサロンワークで得られる結果は重要なエビデンスになります。たった3種類のヘナ・インディゴ・ターメリックのハーブ達が、どんな表情を作り出すのか。
毎日英語の論文と格闘し、新しい見解を得ることは喜びです。
色々な価値観があってよろしゅおす
私はこういった生き方が気に入っています。
しかし、そうでない人もいていいと思っています。
夜中にファミレスが開いてないと困る人もいます。
安く働く人がいなければ成り立たない商いもあります。
そういった人々のお陰で、安く夜中にごはんが食べれるわけです。
縮毛矯正を10000円以下でやってくれる美容室は、学生さんや低所得の人には助かります。
安く働いてくれる美容師さんが受け皿となってくれています。
みんながそうして社会を構成しています。
私は、そういう生き方が出来ないし、したくないので別の方法を選んだというだけです。
もしも、自分の境遇に不満や不安のある人は、こういったことを少し考えてみると良いのかな?思っています。
くれぐれも、会社が悪い!社会が悪い!政治が悪い!などと言ってはいけません。
何を選ぶかは自分自身なのだから。
と いつもスタッフに言ってます♪
奥丹にベンチマークに行きよし!
ぜひぜひ京都清水や南禅寺を訪れる際には、奥丹へベンチマークに言ってみてください。料理が提供されるまでに、店内へ続く回廊や座席から見える庭園、配膳される料理の彩りや配置。お値段は湯豆腐の割にお高めですが、その価値があることに気付くことでしょう。
*食べ物屋さんは好みがあるので、そのあたりはご容赦くださいな、あくまでシステムとして優れていることを強調する為の例ですから。