2019年モロッコの旅

2017年にアルガンオイルとヘナを求めてモロッコへと旅立ちました。

その後、サハラシリーズとして全国販売を行なってきました。

しかし、モロッコという国は甘くありませんでした。

度重なる納期遅延が起こり、多くのお客さまにご迷惑をおかけしました。

そして2019年12月急遽モロッコを訪問することになりました。

そこでは、全く別の顔を持つモロッコに触れることになりました。

世界3大ウザイ国と揶揄されるモロッコ

そこで待っていたのは感動的な出会いの連続でした。

 

2017年の反省

初めてモロッコを訪れた時に取引した会社はカサブランカでした。

カサブランカは遠いとは言え、モロッコでは訪問しやすい場所でした。

その当時はよくわかっていなかったのですが、カサブランカはビジネスの街であり、人々は熱心にビジネスに励む日々を過ごしていました。

ビジネス中心の街では、日々に忙殺され人々は人間らしさを失っています。

これは世界中で同じことです。

そういった場所では、過剰に仕事を抱えてしまいます。

その結果、取引が破綻していくことも珍しくありません。

そして、私達の流通も大きく滞ることになりました。

 

新しい仲間たち

そして今回、改めて地方都市を訪れて新たなパートナーと手を取り合うこととなりました。

今回の旅は、湊町であるエッサウィラを起点に、サハラ砂漠に接するリッサ二という街まで約800kmの大移動。

まず訪れたエッサウィラでは、アルガンオイルの製造を手がけるイブラハムさんとの出会いがありました。

彼らは、代々続くアルガンオイル製造会社です。

会社の庭には、樹齢200年のアルガンの木があります。

彼らはアルガンオイルを知り尽くしたプロフェッショナルです。

 

アルガンオイルの製造

私達美容師が求めるヘアケアに最適な精製方法をリクエストしました。

しかし、彼らは私の製造方法にNOと答えてきました。

それは、モロッコの原住民ベルベル人達が大切にしてきた製法を無視していたからです。

アルガンオイルの大切な成分を壊さずに、いかに不純物を取り除くかといことを熟知していたのです。

この製法は、代々伝わる企業秘密なので、ブログなどでは公表出来ないのですが、是非セミナーなどでご紹介したいと思います。

アルガンオイル特有の残臭を除去し、瞬時に肌に吸い込まれる分子量に調整し髪に過剰な残留をしません。

是非手にとって頂き、その質感を実感して欲しいと思います。

 

イブラハムの社会貢献

イブラハムの工場は、エッサウィラから1時間ほど車で走った、田舎の小さな村にあります。

この地域では水道が無く、井戸を掘るのにも100メートル以上の掘削が必要です。

工場では当然水道が必要なので、大きな投資をして井戸を掘りました。

その井戸を地域の人々にも開放し、村の人々がロバを連れて水を貰いにやってきます。

この工場が無くては、村人の生活は成り立たないのです。

そんな小さな村なので、学校なども無く教育が行き届いていません。

イブラハムは地域に学校を開設する為に、尽力した人でもあります。

地域を大切にしながら、高度で伝統を大切にしたアルガンオイルの製造は、私達が求める製造環境としては最高の場所でした。

 

2日間の大移動でヘナの山地へ

エッサウィラを後にし、砂漠地域へ向かうにはアトラス山脈を越えることになります。

アトラス越えは、この旅最大の難所!

2000メートル超えると途端に空気は薄くなっていきます。

しかし、そこには天空の楽園がありました。

世界を旅することが仕事であることが幸せでたまらないひと時でした。

そしてアトラスを超えると砂漠へと続く一本道を走り続けます。

途中ダデスという何も無い村で一晩を過ごします。

夜になれば、静寂の世界が待っていました。

普段どれだけ雑音の中で生きているのかを実感します。

そして翌早朝に、いよいよヘナの産地へ!

一本道はついに砂漠地帯へ入ったことを感じます。

只々真っすぐな道を2時間ほど走ったあたりに、砂漠のオアシスの村が見えてきました。

この村に到着すると、子供達が珍しいアジアン人を見つけて駆け寄ってきます。

曇りの無い透き通った目で、無邪気に話かけてきます。

このエリアにアジア人が来ることなど殆どないのでしょう。

砂漠を眺めながらしばらく待っていると遠くから1台のバイクが来ました。

工場長のハッサンは少しシャイな表情で私たちに挨拶を、そして最初にヘナの畑を訪れました。

今日はイスラム教徒の安息日、金曜日なので従業員がモスクに行くためにほとんどがお休みをとっていました。

 

モロッコの伝統的な製法

夏場には灼熱の太陽が照りつけるのでヘナはシェイドの下で乾燥されます

シェイドの下で乾かされたヘナ葉はヘナ葉は成分が失われずに非常に良い状態で乾燥されます

(日陰干しは品質保持が難しいとうデメリットもあります)

この製法はモロッコで古くから伝わる方法です

そして回収されたヘナ葉はヘナは工場に運ばれます

この工程はインドと同じようなブローワーを使いながら、葉っぱと不純物に分類されます

そして次に篩いを使ってさらに細かく不純物を取り除きます

不純物が取り除かれたヘナ葉は特殊な機械によって製粉されます

その特殊な機械と言うのはモロッコで伝統的に伝わる石臼を使用した製粉方法です。

石臼のデメリットは細かな繊維が残ってしまうことです。

その繊維質を日本から持ち込んだ特殊なフィルターで取り除くことに成功しました。

日本の技術とモロッコの伝統が融合することで、世界でも類を見ないヘナパウダーが完成しました。

 

砂漠の民ベルベル人と環境

私達がヘナを求めてモロッコを訪問し、あることに気付かされました。

広大なサハラ砂漠は観光地としても有名です。

しかし、一方ではモロッコの経済発展から取り残された場所でもあります。

このエリアには産業は殆ど無く、日本政府もODAで援助を行なっています。

農業を行うには水資源が必要です。

そして同時に設備投資や経済循環を行う必要があります。

私達美容師は、常に環境を汚してしまう商業でもあります。

破壊された自然環境は、資源の奪い合いや貧困を招きます。

ここモロッコでも隣国であるアルジェリアとの小競り合いが続いています。

同じ民族同士が争うという悲劇が起こり、その被害者は常に弱者になります。

そしてイスラム社会への偏見が生まれていきました。

この循環を断ち切る為に、ヘナは大きな役割を果たしてくれることでしょう。

実際に、ヘナの農地が増える程に、経済は潤い、砂漠の緑化が進みます。

日本でヘナの普及が進むことで、こういったメリットも得られるのです。

奇しくも、私の滞在中にアフガンを支え続けた中村医師が亡くなりました。

同じイスラム圏で砂漠化を防ぐ活動をされていました。

このタイミングは、大きな影響を私達に与えていました。

 

世界を旅して伝える役目

インドやモロッコを訪れると、観光では見えない部分があります。

より深くその国と関わるごとに見える世界が変わってきます。

この経験は自分自身の大きな経験となり、知恵や財産となっていきます。

ヘナの仕事に携わることができる幸せと共に、何か使命のようなものを感じます。

全国で開催してきたヘナのお話会は、自分をアウトプットする場と考えています。

本当に伝えなければいけないこととは?

ヘナの品質?ヘナの有効活用?ヘナの製法?ヘナの技術?

その前に、なぜヘナという素材と出会ったのか?

その役割はとは何なのか?

今一度立ち戻り、改めて皆様にお伝えしていきたいと思っています。